特許が無効審判により全部または一部が無効となった場合、その部分は最初から存在しなかったものとみなします。そのため、特許権侵害訴訟においては、その特許を無効させる手段により抗弁することが多くなります。しかしながら、特許が無効となったが特許侵害賠償金をすでに支払った場合もなくはありません。この場合、支払い済みの賠償金、払い戻しは可能でしょうか?
これに対し、中国特許法第47条の規定には、 特許無効審決前、裁判所が判決しすでに執行した特許権侵害に関する判決、調停書、実行済みまたは強制的に執行済みの特許権侵害紛争処理に関する決定、実行済みの特許実施許諾契約および特許権譲渡契約については、遡及効を及ぼさない、ただし、特許権者の悪意行為により他人に損害を与えた場合は補償すべきだ、と定められています。しかし、前項の規定により特許権侵害賠償金、特許権使用料または特許権譲渡料を返還しないことで、明らかに公平の原則に反する場合には、その全部または一部を払い戻さなければなりません。
つまり、当事者双方が特許権侵害判定を行うにあたって、明らかに公平の原則に反することがない限り、既に支払った特許権侵害賠償金は返還されないのが一般的です。ただし、特許権無効審決前に裁判所が行った特許権侵害に関する判決または調停について、それがまだ執行されていない状態の場合、当事者はその取り消しを請求することができます。 裁判所は、再審の審査を停止し、原判決または調停の執行を停止する旨の決定をすることができます。
まとめ
当事者は、法律効力の発生した特許権の無効審決を根拠として、無効審決前に裁判所が下した判決においてまだ執行されていないあるいはまだ執行が終わっていない特許侵害の判決について、終結を請求することができます。裁判所は、審査を経てそれが事実であると判断した場合、執行停止を裁定しなければなりません。