近日、北京知的財産権裁判所は、(2021)京73行中1826号行政判決書にて、原告である日本国立研究開発法人物質材料研究機構の訴訟請求を却下すると判決しました。これで、「発光素子と照明器具」に関わった特許権無効行政紛争は一段落しました。
判決には、以下のような判示がありました。すなわち、人民裁判所は、当該技術分野の技術者(当業者)が特許請求の範囲、明細書及び図面を見て理解した通常の意味で特許請求の範囲における用語を定義しなければならない;特許請求の範囲における用語は、明細書及び図面に明確に定義又は説明された場合は、その定義に従う;前述の規定により定義されないものは、当該技術分野の技術者が通常使う技術辞書、技術マニュアル、工具書、教科書、国又は業界の技術標準などに基づいて定義することができる;国立研究機構は、本訴訟件に関わる特許の明細書において、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体の概念が明確に定義されているにもかかわらず、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体とはイットリウム・アルミニウム・ガーネットを発光材の基材とした複数種類の蛍光体の総称であり当分野の技術常識であると主張し、本訴訟件に関わる特許におけるイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体の概念であると主張しているが、これら主張は、事実及び法的根拠が欠如している、と指摘しました。
恒博は、依頼人のために、多くの細心の準備を行い、相手方の証拠の欠陥及び技術理解の誤りを成功的に指摘することで、中国特許庁が下した無効決定を維持するという旨の北京知的財産裁判所の判決を受け、依頼人(本訴訟の第三人)である江蘇博睿の無効行政紛争の第一審の勝訴を勝ち取りました。